200718TS【参加者の声②】

本トークセッションは学部学生,大学院生,大学教員,企業等の研究者などバラエティに富んだ属性の皆様40名ほどにご参加いただきました.ありがとうございました.事後アンケートで頂戴した声をご紹介します.

このトークセッションを視聴して,どのような感想を持たれましたか.「きっかけ」と対応づけて教えて下さい.

企業や社会との関わりを考える時、「心理学は打ち出の小槌ではない」。すなわち、本日の多くの登壇者が指摘したように、理論的な説明が簡単にできるわけではない。そういう心理学のスタンスと、社会からの要請というギャップをどう考えるかは終わることのないテーマだと思う。今回もそれをあらためて考えることになった。

ある現象を説明する理論や研究が、どれくらい確かなものか、そしてそれぞれの現象に適用可能なのかといった問題は確かに重要だと思う。一方、私個人は教育心理学の出身ということもあり、理論はともかく効果があると思われる現象だけがたくさん出てきたり、あるいは再現可能性の検証までとどかない多くのアウトプットを見ることが多かった。ある意味、捨て石になるような多くの実践の上にようやく成り立っているような領域から見ると、「弱い理論が多い」ことを標榜する社会心理学も、あるいは比較的頑健な理論が少なくない認知・実験心理学を背景とする今日の視点とは、更に異なった研究のあり方に思いを致すこととなりました。

どのようにすれば心理学を社会に生かす仕事に就けるのかについてもう少し詳しく聞きたい。

学術と社会でのズレがある上でも心理学の力を生かして、大きな開発・成果が生まれていることを知り、励みになりました。また現在、実験系の研究室に所属しているので、そのズレをなるべく小さくして実験ができたらなと考えていたところなので、心理学の再現性のお話は非常に有益でした。

悩んでいる部分について、ご意見やこれから取り組もうとしているアイデアなどを聞けてとても満足しています。心の社会実装に関心を持つ人はいるものの、互いに把握できていなくてバラバラに活動している状態だと思うので、大学や企業の枠を超えてぜひ一緒に何かできればと思いました。

心理学者×企業の実際のところを知ることが出来て良かったです。

私自身は実験認知心理学がバックグラウンドですが、評価やモデル化の仕事をしているなかで、心理学への過大な期待や誤解とどう向き合っていくか考えることが多く、それについて皆さまのお話がとても参考になりました。

企業の方に話を聞ける機会もなかったため、とても興味深かった。

心理学が(カウンセリングや支援以外で)社会の役に立つイメージがあまりなかったのですが、実際は色々なところで使われうることを知り、少し将来に希望が持てました。

心理学をビジネスが結びついている構造がなんとなくわかった。ふつうにおもしろかった

再現可能性の問題から生じる、心理学の活用可能性の問題に興味を持ちました。現在、社会的構成物であると考えられる社会心理変数の科学的実在性、社会心理的実在性の問題について個人的に関心を持っており、心理・行動フォーサイトラボの取り組みから何かヒントを得られればと思っておりました。議論の中から幾つかinsightを刺激するお話を伺えたので、とても満足しております。

実践における心理学の立ち位置,実践における難しさ,研究における難しさについて,拝聴させていただき,非常に興味深い内容でした。また,心理学を学ぶモチベーションにも繋がり,参加して良かったと感じております。次回も開催されるということで,事例などより具体的な内容についてもおうかがいしたいと感じております。

まずフォーサイトを実際にどう扱われるか今後のラボでの活動から学ぶことができればいいなと思っております。またオンラインでの消費行動など、オンラインで人がどのように考え行動するのかを調べる研究は今特に期待されているのかと感じました。加えて何らかのデータは蓄積されており、理論を基にそれらを使用できるような研究も期待されているのかと感じました。

民間企業での心理学実践例が知れて良かった。私はずっと社会に出たら心理学からすっかり離れてしまうと思い込んでいた。しかしソニーで活躍されているおふたりのお話を聞いて、私の人科での学びはちゃんと社会でも生かせると感じ、とても嬉しかった。就活を頑張るモチベーションにもなった。

具体的な研究を役立てるというより,心理学を学んだ人がどう社会に役立つかという点で示唆を得られました。ありがとうございました。

今後の取り組みにおける連携の枠組みを知ることができましたので、今後具体的な事例が生まれてくるのを期待しています。フォーサイトを生み出すということに関しては、ディスカッションの中でもありましたようにトライ&エラーでサイクルを回していくことが必要なのかなと思いました。方法論に関しても、この取り組みの中で新たな知見が生まれるのではと期待しています。

色んな視点からのお話を聞けて、とても興味深かったです。理論をもとにした仮説を立て、分析、検証してベネフィットを生み出すという、科学としての心理学のニーズが高まっているのだなと感じられました。一方で、大学でも企業でも、再現性や倫理、一般的な心理学に対するイメージなど、共通した心理学の課題があり、難しい問題だと思いました。一般の人にわかりやすいように、インサイトからフォーサイトを生み出せる心理学の有効性を伝えられたら良いなと思いました。

(心理学という分野は専門ではないのでやや不勉強なコメントとなってしまうかもしれませんが、失礼いたします。)私は元々ロボットの研究者をしていた時代は、ユーザニーズも踏まえ、論文や教科書に基づいて理論を構築して、実装や設計に取り組んで製品開発をして参りました。しかし現在マーケティングの仕事に移って驚いたのは、その方法論がほぼノウハウベースであることでした。今回のお話の中にもありましたが、人はばらつきの部分があまりにも大きいですし、ことマーケティングや物を売るというところに対してはアカデミックの知見よりは蓄積したノウハウやアイデアが重視されるのかと思います(もちろん、それらのノウハウやアイデアも分解すれば理論的に説明可能なものかとは思いますが)。そこで、マーケティング文脈で最先端のアカデミック的な取り組みはどのようなものがあるのか、興味を持っておりました。今回のトークセッションを聞いて、その難しさや取り組む方向性が感じ取れて、非常に勉強になり、この文脈を私も勉強したいと強く感じました。またソニーさんの意欲的な取り組みと、大阪大学さんの実用を見据えた産学連携の取り組みの積極的な姿勢に感銘を受けました。部外者であり、しかも専門家でもありませんが、なんらかの形で情報を収集して学んでいければと思います。