202207WS【開催報告】

2022年7月30日(土)に第2回WSを開催しました.

前回WSでは,ターゲットユーザーとシーンの背景となる心理学的現象についての仮説を考えた上で,行動変容の戦略設定→解決策の創出・絞り込みを行いました.今回のターゲットユーザーとシーンは「鉄道利用(者)」です.参加者9名は2グループに分かれて,「エスカレーター利用」「乗車位置」について現状の観察にもとづく問題設定をおこない,その問題を生じさせている心理社会的要因を考えながら,どのような方向に行動を変容させるか,そのためにはどのような解決策が考えられるかを1ヶ月にわたって話し合いました.教員2名とソニーからのメンバー3名も話し合いに参加し,適宜アドバイスを送りました.

今回WSでは,鉄道事業者つまりステークホルダーとしてJR西日本テクシアから3名の実務家にお越しいただきました.まず各グループが話し合いの成果を発表し,実務家の立場からの様々なコメント・アドバイスをいただくと共に,互いに意見を交換しました.その後,実務家にも加わっていただいて,解決策のブラッシュアップをおこない,最終成果を再びプレゼンしました.

本ワークショップでは,単に解決すべき問題の表層を見て場当たり的な解決策を考えるのではなく,心理学に代表される行動科学の理論と研究知見に基づいて,問題が人間の心理と行動のどのあたりにどのようにあるかを的確に位置づけ,説得的な解決策を提案することを目指しています.そのためには,心理学の専門家と,ターゲットとなるシーンの専門家(今回であれば鉄道事業者)の共創が必須です.

JR西日本テクシアの方々にご参加いただいたことによって,参加者たちが今まさに学んでいる心理学と社会的行動の関係についてより具体的に考え,活用可能性を思い描く貴重な機会になりました.土曜日にもかかわらず大学までお越しくださり,貴重な情報を多々ご教示くださいましたことに,心から感謝申し上げます.